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ビルダーネット アンケート
「店長力」アンケート結果


アンケート対象 ハウスメーカー・パワービルダー・中小工務店などの住宅営業最前線の店長(所長・マネジャー・リーダーなど呼称は様々)又は営業管理者。
配布・回収 株式会社コンピュータシステム研究所が運営する住宅産業情報ポータルサイト「ビルダーネット」を通じたネットアンケート、及び一部はFAXによる回答。
アンケート期間 平成15年6月1日〜7月5日
有効回答数 88件


属性

回収総数88件、回答者はハウスメーカーと中小工務店で93%、営業店長と営業部門管理者で91%を占めるなど、住宅営業最前線の店長像の実態把握が期待出来る属性となった。店長の年齢層は31歳から45歳までの年代が78%を占め、住宅営業の経験は10年以下が39%、15年以下で全体の64%を占めている。営業管理者としての在籍年数は2年から10年で81%を占めている。

ハウスメーカーの住宅営業マンの平均的な出世双六は、22歳(入社)⇒27歳(中堅時代)⇒30歳(次席クラス)⇒35歳(店長昇格)⇒45歳(支店レベルの営業部長昇格か本社スタッフ管理職)⇒50歳(部門長)、といった業界概念を裏付けるデータとなった。


設問回答の考察

店長の仕事として重視している業務カテゴリでは、「部下のやる気の向上と維持などムード構築(28%)」「販売促進の企画と実践(22%)」「指示・命令・評価などの采配(20%)」で全体の70%を占めるが、「営業の実践的OJT(19%)」も重視度が高い。反面で「営業管理データなどの集計」などのルーチン業務は重視度が低い。住宅営業の世界は概して、データ管理やデータで考える事が苦手な人が多いが、営業管理者の仕事の第一はマネジメント、つまり管理する事だ。この辺、管理の重要性が理解されていないのか、管理手法が改善されていないのか、相変わらず個人プレーと熱意力投の風土が評価される風土が主流なのであろうか。

店長に選ばれた理由では、「営業マン時代の受注実績が良かったから」「最後までやり抜く意志の強さを評価されたから」「勤務年数、経験年数が一定以上だったから」「熱意力投の姿が評価されたから」「商品知識や法規・設計施工などの知識面が評価されたから」がベスト5となり、全体の62%を占めている。複数回答なので、その他の回答も多かったがバラツキが大きい。「他に店長のなり手が居なかったから」とか「単にラッキーだっただけ」「他に適当な人材が居なかった」などのネガテイブな理由は少なかったが、店長抜擢の理由の中心が「受注実績」+「経験年数」という構図は変化が無いようだ。

店長の日常の実践ワークで最も重視するものは何かの設問は、Q1の設問を更に細分化して具体的な店長業務の実態を求めたものだ。「見込みレベルの判断と行動指示」「客宅への同行訪問などのOJT」「部下の行動管理と成果の確認」「部下の良き相談相手」「設計や施工など関連部署との調整」がベスト5で51%を占めた。Q1の結果とはやや違いが見られるが、具体的設問になると一層の店長業務のデイテールが見えてくる。Q1では下位に有った「営業管理データなどの集計」も、Q2では、「部下の行動チェックと成果の確認」が3位に位置されている。「接客や商談進捗、契約実績などのデータ管理」も比較的上位だ。カテゴリとしては好きではないが、業務の重要性は十分認識しているという事か。

「設計や施工など関連部署との調整」がベスト5に位置しているが、この辺、関連部署の動きが受注成果に密接な影響を与えるのは何処でも同じ事情が垣間見える。設計や見積担当者、はたまた現場管理者のご機嫌を伺いながら、社内営業で飛び回り、プランや見積もりの優先確保とクレーム対処に頭を悩ます店長の悲哀が見えてきた。この辺、営業優先型の業務フロー体系と、技術優先型の業務フロー体系のスタンスの違いが、店長のワーキングにも大きく影響するという事だ。顧客主義の大義名分で偏った顧客満足優先主義を標榜し、設計施工などの技術偏重型となった企業の隆盛は、住宅業界ではあまり例が無い。営業が元気になる仕組みと顧客満足は並立するし、その要因は、業務フローとモチベーションの仕組みの問題である事を、トップはもっと認識すべきだろう。

店長の権限で企画出来る販売促進イベントは、「店独自の現場見学会の企画と実践」「店独自の販売キャンペーン企画と実行」「店独自のチラシの企画と制作」で73%を占めた。意外と店長権限が大きい事を示している。店独自の商品企画や営業インセンティブの立案などの権限はさすがに少なかった。

店長に特に必要な素質は何かとの設問は回答ばらつきが大きく、自己の店長としての力量や素養を踏まえた上での回答にならざるを得ない結果なのだろうか。それとも、これも大事、あれも大事と、理想の店長を描いたのであろうか。それでも、「統率力・リーダーシップ」「責任感」「行動力」「創意工夫と企画力」「やるき・積極性」がベスト5で59%を占めた。次いで「人間性」「体力」と続き、「包容力」「優しさ」「頭のよさ」「真面目さ」の評価は低かった。

店長としての自己研鑽は、結論として大した事はやっていない。「新聞や業界誌を見る」「ビジネス本を見る」に加えて「インターネットで情報を得る」が第3位。この辺、ビルダーネットへアクセスする営業店長が多いという事であれば嬉しいのだが。会社が開催する研修で学ぶが13%と低位だが経費削減の影響か。この辺、店長力の差がボデーブローのように効いてくるだろう。

Q6と類似する設問として、更にQ7では、部下を統率し引っ張っていく為の「店長」としての重要な姿勢を聞いた。
「めりはりのある指示、命令、評価」「強い統率力、リーダーシップ」「人間性」「部下の悩みを聞く」「部下の失敗を店長責任とし、部下の成功を最大評価」がベスト5で51%を占めた。半面で「飲みにケーション」「包容力と優しさ」「家族的ムードの醸成」「贔屓無しの客観評価」「親分肌」「熱意力投の体育会系ムード」などは比較低位であった。時代の変化が垣間見られる。自由記入欄では活発な記入が行われた。興味深い記述が多いので熟読されたい。中でも「コーチング」という記述がキラリと光る。

本社に対する店長のあるべき姿では、「タイムリーで正しい報告」「本社の考え方を部下に確実に伝える」「本社関連部署とのコミュニケーションを図る」「部下の思いを本社に訴える」「最前線司令官としての店長の考えを主張する」がベスト5で65%となった。営業管理者としての真面目さが感じられる。

これからの店長に求められるものは、「部下のパワーを引き出す能力」「市場と顧客ニーズの変化に敏感な対応力」「柔軟な発想」「統率力とリーダーシップ」「優れた発想による企画力」で67%を占めた。この辺が自己の不足する能力の裏返しなのだろうか。自由記入欄の「驚異的な速度で変化する市場に対応出来る情報収集能力と分析能力」は注目だ。

店長のやる気のモチベーションに必要なものは、「やる気の風土の醸成」「成果と連動するインセンティブ」「受注成果だけではない店長業務も評価する仕組み」「客観的でタイムリーな評価システム」「店長の権限」がベスト5で54%。以下、「具体的な目標設定と適正なノルマ配分」「職場環境の整備」「店長の意見具申を尊重する風土」などが高位に位置した。このアンケート項目の回答詳細は、経営トップに是非とも見てもらいたい項目だ。現場を知らない、というよりも、現場を見ようとしない、いや、営業最前線の見える仕組みが出来ていない企業のトップが、凋落した企業の最大の戦犯であるということを認識すべきだ。最前線で汗をかく店長に替わって声高に主張しよう。

最後の設問は「店長の悩み」だ。「部門は沈滞し、不満が鬱積している」「成績不振は他責にし、売れない理由は得意の部下達」「勉強せず、覚えようとせず、人の言うことに聞く耳を持たない」「甘え、摺りより、クラブ活動の延長のように振舞う」「動かず、参加せず、口は達者で、批判は一人前」…今時の若者を見ているようだ。今時の若者が悪いのか、社会構造がそうさせているのか、管理者たる店長が悪いのか、定かでは無いが、どのような店長でも悩みの一つや二つは抱えているものだ。その悩みをすくい上げ、適切な対処の方法をアドバイスし、果敢に打って出る熱い店長を育てなければならない。しかも一刻も早く。

優れた販売システムと訓練された接客スキル、熱意力投の営業組織など、強力な販売パワーの構築は必須要件である。その強力な販売パワーの構築の鍵を握るのが、住宅営業最前線の指揮官「店長」なのだ。住宅の販売量は営業力が最大のファクターであり、その営業力の構築に決定的な影響力を与えるのが「店長」である。卓越した営業力、その要となる「店長力」の存在に注目しない企業の衰退は、最近凋落したかつてのハウスメーカーやパワービルダーの末路が証明している。


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